第2クールの物語は、何が変わったのか?
第2クールOP「晴る」を理解するために、
まず押さえておくべきなのは——
第2クールの物語そのものが、第1クールとは明確に質が違うという点です。
第1クールは「フリーレンの物語」だった
第1クールの軸は、ほぼ一貫しています。
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勇者ヒンメルの死
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失ってから知る感情
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フリーレンという存在の孤独と時間感覚
物語の中心は常にフリーレン個人にあり、
彼女の視点で世界を見る構成でした。
だからこそ、
YOASOBI「勇者」の
“語って伝えるOP” が、極めて相性が良かったと思います。
第2クールは「旅の物語」へ広がっていく
一方、第2クールでは物語の重心が変わります。
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フリーレン以外の新キャラクターが本格的に登場
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フェルンとシュタルクの成長が明確に描かれる
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仲間それぞれの価値観や選択が表に出てくる
とくに、
フェルンが“フリーレンの弟子”からひとりの魔法使いへ変わっていく過程は、
第2クールを象徴する要素です。
物語はもう、
「誰かを失ったあとを振り返る話」ではなく、
今を生き、先へ進む旅へ移行しています。
第2クールのテーマは「成長」と「これから」
第2クールで描かれるのは、
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完成された英雄の物語ではない
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まだ途中の人間たちの歩み
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迷いながら、それでも前に進む姿
つまり、
感情はまだ整理されていないし、答えも出ていない。
“完全に晴れた空”ではない世界です。
だから、第2クールOPに求められる役割も変わる
第1クールOPは、
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過去を総括し
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想いを言葉にし
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視聴者に物語を伝える
役割でした。
しかし2期OPに必要なのは、
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これからの旅の空気
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まだ揺れている感情
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先が見えきらない中での希望
👉 「語り切らない」こと
ここで初めて、
ヨルシカ「晴る」の立ち位置が見えてくると思います。
第2クールOP「晴る」は、物語をどう表現しているのか?
ヨルシカ「晴る」は、
物語を“説明”しようとしていない。
ここが、まず一番大事なポイントです。
「晴る」は完成した感情の歌ではない
n-bunaはこの曲について、
「正確には“晴れ”ではない状態から、
晴れを願う曲」
つまりこの曲は、
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すべてが解決したあとの歌ではない
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前向きになりきれた人の歌でもない
👉 “途中”にいる心の歌です。
これはそのまま、
第2クールのフリーレンたちの立場と重なります。
歌詞は「物語」ではなく「風景」を描く
「勇者」が人物と関係性を描いていたのに対し、
「晴る」は、言葉の多くを自然の描写に使っています。
これらは、
誰か一人の感情を断定するための言葉ではなく、
今いる空気や時間の流れを示すための比喩です。
だからこそ、
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フリーレンにも
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フェルンにも
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これから出会う新キャラクターにも
重ねることができます。
OPとしての役割は「並走すること」
ヨルシカは、
OPだからヨルシカらしさを捨てる
という選択をしていない。
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物語を語りすぎない
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答えを提示しない
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聴き手の解釈に任せる
その代わりに、
作品と同じ速度で歩く音楽になっています。
旅の先を照らすライトではなく、
横に並んで吹く風のような存在。
だから一聴で刺さらないこともある
この構造のせいで、
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初回は印象が薄い
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「フリーレンっぽくない」と感じる
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勇者ほど強い感情が湧かない
という反応が出やすい。
でもそれは欠点ではない。
第2クールの物語自体が、
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少しずつ進み
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少しずつ変わり
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振り返って初めて意味を持つ
構成だからです。
物語を知るほど、歌が追いついてくる
実際に多いのが、
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PV時点で引っかかった
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放送を追うほど馴染んできた
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気づくとOPを飛ばさなくなった
という声。
これは、
歌が物語の「先」を行っていない証拠でもある。
ここで整理すると👇
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第1クールOP「勇者」
👉 物語を“語る”
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第2クールOP「晴る」
👉 物語と“歩く”
だからこそ、
好みが分かれるのは自然なことです。
まとめ|「晴る」は、答えを急がない旅の歌
ヨルシカ「晴る」は、
第1クールOP「勇者」と比べると、
どうしても分かりにくく、印象が薄いと感じる人がいます。
けれどそれは、
曲の完成度が低いからではなく、物語の段階が変わったからです。
第1クールは、
失った想いを振り返る物語。
だから「勇者」は、過去を語るための歌だったのです。
第2クールは、
旅が続いていく物語。
フリーレンだけでなく、
フェルンや仲間たちが成長していく“途中”の時間。
だから「晴る」は、
すべてを語らず、
完全に晴れきらない空の下で、
それでも前に進むための歌になっています。
説明するための音楽ではなく、
一緒に歩くための音楽。
一聴では分からなくても、
物語を見続けていくうちに、
ふと意味が追いついてくる。
「勇者」と「晴る」は、
優劣で比べる曲ではない。
それぞれが、違う役割を背負って生まれたOPだと思います。
そして第2クールの旅路には、
この「晴る」という静かな風が、
確かに似合っていると思います。